夏のケアが命運を分ける

日本の夏は、バラにとって一番の勝負時です。

夏場に見られるほとんどのダメージは、過度なお世話、水のやりすぎ、消毒のしすぎ、剪定の失敗などが原因です。バラにとってはいいことでも、それが多すぎるとかえって逆効果になることがあります。ほかの植物や生き物たちと同じように「適正量」があるので、あまり自信がないなら「少ない方がいい」と心に留めておいてください。

夏のお庭のメンテナンスについて、ご提案があるので時系列に並べて紹介させていただきます。お庭の状態や生活習慣に合わせて使ってみてください。その中で、新しいことを試したり、記録をつけたりすることで、ベストなものが見つかります。ベテランガーデナーになるにはもちろん時間がかかります。焦らずじっくりと、自分の失敗を理解し、つまりそれを忘れないことが近道になります。

―6月―
6月初め頃には一番花が終わるころ。
花が咲き終わったらデッドヘッディングする(花がらを摘む)か、一気に剪定するかどちらかお好きな方をしてください。
開花後はバラにも少し疲れが出てきているので、リフレッシュさせるためにデビッド・オースチンのローズフードを与えることをおすすめします。鉢の周りをきれいにし、肥料を与えます。

―7月―
7月になれば二番花が咲いているか、株が少し苦しんでいる時期。よく見られるのは黒点病と虫による被害です。ここがあなたの記録が役に立つところです。殺虫剤や殺菌剤での消毒は、この真夏の時期は不向きです。
最小限のスプレーで抑えるか、明け方から早朝の最も涼しい時間帯に消毒を行うようにします。黒点病の兆候を見逃さないように注意深く観察し、病気の葉はすべて取り除き、予防スプレーを使うといいでしょう。

昆虫の動向に目を光らせ、殺虫剤の使用を極力抑えます。殺虫剤は、非常に毒性が強いためとても危険だからです。
正しい水やりを行うことで、バラは病気と闘うことができ、消毒の効果もより高く発揮できます。しかし、過度な水やりは消毒の効果がなくなるほど悪影響を及ぼす可能性があります。

―8月―
引き続き水のやりすぎには注意してください。表面の土の乾き具合だけで、判断することは極めて危険です。土の表面はほぼいつも乾いていますが、土を20cmほど掘ってみると、水が本当に必要かどうかがよくわかります。

―9月―
ここまでバラを大切に、健康に育ててこられたあなたは大変優秀です。しかし、黒点病や虫食いなどのダメージを受けた方も、そんなに心配する必要はありません。バラは本当に強くて、気温が下がってきたら魔法にかかったように完全に復活します。もしまだ病気が残っているようなら、葉っぱが全部なくなるとしてもきれいに取り除いてください。剪定する場合は、品種にもよりますが3分の1以下ほどに抑え(全体の3分の2は残しておき)、高さを揃える程度に切り戻すことが多いです。

このときのバラは葉っぱがほとんどないことが多いので、とにかく水のやりすぎには注意してください。
鉢や花壇をきれいに整え、肥料を与えることを忘れないでください。
葉が復活してきたらバラの変化に目を配り、つぼみが出てくるころにはつぼみを食べようとする虫に留意しましょう。

―10月―
天候と剪定のタイミングが秋の開花時期に大きく関わってきます。
水やりや肥料のやりすぎも同様に。もし、肥料の適正量がわからなければ、デビッド・オースチンのローズフードをお使いの場合、1回の用量を増やすのではなく、逆に量は最小限にして、施肥の頻度を増やしてみることをおすすめします。

あなたが購入するときに思い切って選んだ品種も、秋の花には向いていないかもしれません。
というのも、多くの植物は、5月と7月に開花シーズンを迎え、夏には小さな花を繰り返しつけますが、秋になるとあまり花をつけない性質があります。そのような品種は、つぼみを作らないシュートがたくさん出続けます。他の品種は春に比べて花の数が少ない分、気温が下がり続けるため、花が大きくなり、花色も濃くなります。一部の品種は10月には開花しないものもありますが、11月からその先の冬にかけて新しい返り咲きのサイクルをスタートさせる準備段階に入っているんですね。

すべての品種がこのように異なる特性を持っていますが、正しい水やりや土壌、肥料など基本的に大事なことはバラにとって共通しています。ガーデニングを通して、楽しみながら品種ごとの特性を知り、バラたちが最高のパフォーマンスを発揮するために、あなたのお庭に合ったベストなケアを探しましょ。